生活習慣や化粧品など、肌をケアする方法はさまざまです。
その中でも、肌を美しく保つ働きのある「美肌菌」を食べ物によって増やすことができるのをご存知でしょうか。
もし、毎日の食事の中で肌悩みを解消できるなら、こんなに嬉しいことはありません。
今回の記事では、美肌作りに役立つ「美肌菌(善玉菌)」の特徴やおすすめの食べ物についてご紹介します。
しつこい敏感肌や乾燥肌にも効果的なので、肌のコンディションに悩まれている女性はぜひ参考にしてください。
皮膚常在菌の種類
私たちの皮膚には普段から何種類もの菌が存在しています。
「菌」と聞くと悪いもののようですが、肌にとって良い効果のある「善玉菌」やトラブルの原因となる「悪玉菌」、肌状態によって変化する「日和見菌」と、その内訳はさまざまです。
これらはまとめて「常在菌」とも呼ばれており、健康な肌状態では悪さをすることはありません。
しかし、バランスが崩れることで深刻な肌トラブルを引き起こすこともあります。
ここでは、これらの皮膚常在菌の種類や特徴について解説します。
善玉菌
善玉菌とは一般的に「表皮ブドウ球菌」のことを指します。約0.6~0.8マイクロメートルほどの小さな菌で、皮膚の表面や角質層に常在しています。
表面ブドウ球菌は肌の潤いに関係する「グリセリン」を作り出したり、肌荒れの原因となる「黄色ブドウ球菌」を退治する働きを持っていることで知られています。
別名「美肌菌」と呼ばれるのはそのためです。
肌の健康を保つには欠かせない善玉菌ですが、肌表面に多く存在するため洗顔の影響を受けやすくなります。
そのため、1日に何度も顔を洗うと菌数が減ってしまうのです。
善玉菌の美肌効果を生かすためには、必要以上に顔を洗わないことをおすすめします。洗顔料を使った洗顔は1日1回にとどめたほうが良いでしょう。
メイク落としも洗浄力の強いものは避けるなど、できるだけ肌に刺激を与えない方が善玉菌のためです。
日和見菌
肌の善玉菌と悪玉菌のバランスに左右されてしまうものを「日和見菌」と呼びます。
これらは善玉菌優位の状態では悪さはしませんが、悪玉菌優位となるとその影響で肌トラブルを引き起こすようになるのです。
有名なところでは「アクネ菌」を挙げることができます。
アクネ菌は一般的にニキビの原因として知られていますが、弱酸性の肌に誘導する働きを持つなど善玉菌の働きをすることもあります。
悪玉菌
「とびひ」などの皮膚疾患の原因としても知られる「黄色ブドウ球菌」はいわゆる悪玉菌と呼ばれています。
アトピー性皮膚炎や肌荒れにも関係しており、体内では食中毒の原因となることもあります。アルカリ性を好むため、弱酸性を保つ善玉菌が減少すると増えやすいです。
悪玉菌が優位になることで肌トラブルが起こりやすくなります。
美肌菌の効果
美肌菌が増えると肌にどのような影響があるのでしょうか。
続いて、その具体的な効果について解説します。
乾燥肌のケア
善玉菌は皮脂や汗を原料に、角質細胞を潤わせる効果のある「グリセリン」「脂肪酸」を作り出します。
乾燥肌は角質層の保水作用が低下している状態なので、善玉菌が作り出すこれらの成分によって保湿をサポートすることができます。
また、グリセリン自体は化粧水にもよく利用されている成分ですが、善玉菌の作るグリセリンは乾燥した部分にピンポイントで届くのでより高い効果を期待できると言えるでしょう。
敏感肌のケア
敏感肌とは肌のバリア機能が低下した状態を指します。バリア機能の低下は、乾燥肌と同じく潤いが不足していることが原因です。
そのため、善玉菌によるグリセリンと脂肪酸の産生は敏感肌のケアにも非常に有効です。
特に脂肪酸には外部刺激から肌を守る効果があるため、ちょっとした刺激に弱くなっている敏感肌にとって有用な存在です。
ニキビやアトピー肌のケア
善玉菌が増えれば、アトピーや肌荒れの原因である「黄色ブドウ球菌」の増殖を抑えることができます。
また、ニキビの原因菌である「アクネ菌」は日和見菌タイプなので、善玉菌が優位になれば自然と肌を保護してくれるようになるでしょう。
ニキビやアトピーのような肌トラブルがあるのは皮膚が弱っている状態です。肌を保護する作用のある善玉菌が増えれば、ニキビやアトピーによって弱った肌状態を改善することが期待できます。
美肌菌生成に効果的な食事術
肌表面の「美肌菌」を上手に働かすためには、腸内の「美肌菌」である善玉菌を増やすことが重要です。
腸内環境を整えることで、血流が促進され、栄養の吸収が良くなり、肌にしっかり栄養が行き渡るようになります。
腸内環境が整うと、自律神経のバランスも整うので、ホルモンバランスやメンタルが安定し、常在菌が棲みやすい環境が整います。
同時に、免疫機能の働きも良くなるため、肌のバリア機能も強化され、肌荒れや敏感肌などの悩みも改善に向かうのです。
また、美肌菌を増やす上で重要になってくるのが、「糖化」に気を付けることです。
糖化とは、過剰に摂取した糖が体内でタンパク質と結びつくことで「AGEs(糖化最終生成物)」ができることを指します。
AGEsが体内に蓄積してしまうと、肌老化の原因になってしまうのです。
「糖化」を予防し腸内環境に気を使った食事をすることで、肌フローラが安定し善玉菌が住みやすい肌に導くことが可能です。
美肌効果の高い食品や食べ方をみていきましょう!
腸内環境を整える食品を摂取する
腸内環境を整える食品として、発酵食品や食物繊維などが挙げられます。
なかでも発酵食品には、乳酸菌をはじめ善玉菌が豊富に含まれています。
善玉菌には、腸内環境を整えながら免疫力を高める効果もあるため、美肌菌を増やすだけでなくバリア機能の強化にも効果的です。
発酵食品: 納豆・醤油・味噌・チーズ・ヨーグルト・キムチ
添加物を避ける
ファストフードやコンビニ食品などに含まれる食品添加物には腸内の善玉菌を減少させる作用があります。
腸内環境を悪化させ、肌環境にも悪影響を与えるので、なるべく添加物食品は避けることが重要です。
抗糖化食品を摂取する
野菜やハーブには体内の糖化反応を抑制する作用があることがわかっています。
抗糖化作用が高い食品としては、新生姜やサニーレタス、モロヘイヤなどが挙げられます。
また、甜茶やどくだみ茶にも高い抗糖化作用があるので、食事中の飲料として取り入れるのもおすすめです。
最初に野菜から食べる
美肌のためには、食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」がおすすめです。
はじめに食物繊維豊富な野菜から摂ることで、腸内を整えるのと同時に「糖化」の原因である急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。
特に1日の始まりである朝食は、食物繊維をたっぷりとりましょう。
食事は血糖値の上昇を抑える食品と合わせて食べる
糖質の多い食材を食べる場合は、血糖値の上昇を抑える食品と合わせて食べましょう。
白米や麺類、甘いお菓子などの糖質中心の食品は、血糖値を急上昇させ体を「糖化」させる危険性があります。
「糖化」を避けるためにも、血糖値の上昇を抑える食物繊維が豊富な野菜やきのこ類を一緒に摂ることをおすすめします。
高糖質食品の食べ過ぎに注意する
朝食やおやつとして手軽な菓子パンですが、そのほとんどが糖質でできています。血糖値の上昇を招く代表的な食品なので、できるだけ控えることをおすすめします。
また、間食でよく甘いものを食べてしまう人は注意が必要です。血糖値が常に上昇した状態が続くと「糖化」が進行してしまいます。
肌老化を防ぐためにも、高糖質食品の食べ過ぎには注意しましょう。
水をたくさん飲む
血糖値の上昇を抑えるためには、こまめな水分補給がおすすめです。
水分を摂ることで血中の糖濃度を下げることができます。1日1.5リットル~2リットルを目安にしてください。
まとめ
肌の常在菌は私たちの肌を守る作用がある一方、バランスが崩れるとトラブルを引き起こす原因にもなります。
美肌を目指すには、これらの常在菌と上手く共存することが大切です。
そのためには、スキンケアだけでなく食生活の面からも常在菌を増やすサポートをしてあげてくださいね。
美肌菌を増やして乾燥肌や敏感肌とうまく付き合っていきましょう!